三百年続く老舗の訓え。

中村四朗兵衛邸(扇四呉服店)に代々伝わる長文の家訓。
内容を一言で表せば、「質素倹約を旨とし、決して奢(おご)るな」ということです。「商売をしていると必ず好不調の波があります。不調の時には必死に頑張りますが、調子が少し上向くと心に奢(おご)りが生まれ、そしてそれは同時に衰退の兆しである」と家訓は戒めています。

大学卒業後に家業の呉服店を継ぐことを決心した私は、滋賀県近江八幡市の300年の歴史ある老舗呉服店で、第1期研修生として住込みで勤めていたことがあります。主人達と共に生活し、三度の食事を一緒に食べ、同じ風呂に入るという暮らしです。三年間共に生活する中で、毎日教えられたことが、「心に?マークを持て」でした。人に注意された時には「なぜ注意をされたのか?」、商品が売れた時には「なぜ買っていただけたのか?」・・・・・人間性を日々の生活の中で身に付くように教えられました。食事の時には、ご飯の食べ方まで奥さんにチェックされましたし、当然のことながら正座です。好き勝手していた学生生活から一変して、このような生活になったわけですから、最初は戸惑いましたし、逃げ出したいくらいでしたね。禁止されていたお客さんのお嬢さんと交際したり、交通事故をおこしたことも・・・。思い起こすと本当にご心配やご苦労をお掛けしました。

先日、お世話になった八幡の社長夫妻のもとに、静岡県で呉服店を営む同期生をはじめ、新潟、愛知、岡山、広島、福岡から同じ釜の飯を食った者同士が集い、思い出話に花を咲かせました。奥さんの美味しい手料理にそれぞれが持ち寄った地酒をいただきながら、本当に楽しかったですね。当時の色々な思い出がついこの間のように蘇ります。退社(卒業)して30年が経った今でも、時々集まって情報交換をしたり、結婚式などの晴れの日に招かれたり。社長夫妻も70歳を過ぎましたが、毎回私たちを快く招いてくれます。今回も社長夫妻を中心に深い絆で結ばれていることを、実感することができた一日でした。


中村四朗兵衛邸
扇屋(伴家:市内新町)に奉公していた四朗兵衛が、屋号の一字を譲り受け、「扇四呉服店」と称して当地に享保5年に開店したことに始まります。3代目が京都・大阪に出店するなど店を拡充し、5代目は初代八幡町の収入役として活躍しました。9代目となる今日も創業以来の【呉服】を商う(株)扇四呉服店として地域と共に歩んでいます。

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